「3.11の後に、日本を忘れないで欲しいと思ったのがきっかけ。日本茶とアメリカのスイーツを組み合わせてアメリカ人に日本茶と馴染んでもらえる食を作ろう、そう思い立ったたんです。」

近年話題のブルックリン、ウィリアムズバーク。アーティストやファッショ二スタがコミュニティーを作り、それぞれが自分のスタイルや生き方を自然に、でもかたくなに曲げずに共存している小さな街。マンハッタンから地下鉄で数駅の距離だが、街の息遣いがまるで違う。マンハッタンの自己主張を動とすると、ウィリアムズバークの自己主張は静。そんなウィリアムズバークの片隅に池田こずえのカフェ、My Kitchen In Brooklynがある。

ブルックリンに長く住んできた池田は、カフェを開こうと決めた時、ブルックリン以外は考えなかった。ブルックリンだからこそ、池田のこのカフェのコンセプトが受け入れられる、ここから新しい文化を発信できると信じたからだ。池田のこのカフェのコンセプトは、ヘルシーで美味しい、こだわりのある食べ物をコミュニティーに提供すること。ウィリアムズバーグの住人はファッションに敏感。ファッションとは衣服のことだけを指すのではない。生き方全部のこと。もちろん「食」も重要なファッションだ。

3.11の後。日本のために何かをしなければならないと池田は思った。日本とアメリカがどんなに深い絆でつながっているのかを、アメリカ人に忘れないで欲しいと思った。それには日本がもっとアメリカ人にとって身近なものじゃなくっちゃ。そこで思ったのが食。日本の食文化をアメリカ人の日常に持ち込むことで日本がアメリカに存在することになるんじゃないかと。そしてそれが一時的な流行ではなく、良質なものとして長く受け入れられること。もともとヘルシー嗜好の池田がたどり着いたのは日本茶だった。でも、「日本茶とようかん」では、いくらこちらが声を大にして、「美味しいですよ!健康によいスイーツですよ」と言ってもだめだろう、ならば、日本茶とアメリカのスーツを組み合わせたものを作るのはどうか?そしてMy Kitchen In Brooklynが生まれた。

池田のカフェででは、味噌ベースのグラノラやビーガンチョコレート、甘酒や抹茶をベースにした各種ドリンク。いずれも素材にこだわり、作り方にこだわった逸品。それが、このウィリアムズバーグの住人に受け入れられ、信頼されていると池田は感じている。池田のカフェで作られたものだから、ヘルシーで良質なものに違いない、と。

アムネットの創設メンバーとして長年、日本の旅行会社や日本からのVIPを顧客に、ニューヨークを紹介し、ニューヨークでのことならどんなことでも手配をしてきた池田。ニューヨークのことなら、何を聞かれてもいつでも答えられるように、と、めまぐるしく流行が移り変わるニューヨークで、常に流行には敏感に、また、お客様に喜んでもらえる良質なものを提供できるようにと、各種イベントへの参加はかかさず、話題のホテルやレストランには必ず足を運び、自ら体験することをモットーとしてきた。その経験が今のビジネスに深いつながりがあると言う。

「食にも流行があるんです。例えばね、健康ブームが始まって、牛乳じゃなくソイミルク(豆乳)が登場したでしょ。その後にアーモンドミルク。でも、もうソイもアーモンドもウィリアムズバーグでは古いのよ。今はヘンプミルク。だから、ヘンプミルクを使って日本茶と何かしなくちゃ、って感じたり。そういう流行に敏感でいられること、それは旅行の仕事で身につけた感覚ね。それから、仕事のおかげで良質のものや食べ物に触れてきたでしょ。特にニューヨークのホテルというビジネスはトレンドを取り入れて良質なサービスを提供するのが重要。それを本当に近い距離で見てきて味わってきたので、目も舌も肥えてるのね。それが、このビジネスの役にたっているって感じますね。」

長くアムネットの重要メンバーとして顧客からも社員からも頼りにされてきた池田だが、旅行の仕事を離れることに未練はなかったそうだ。後輩が育ってきたし、Aグループのためにも私は何か新しいビジネスをしなくちゃ、と思っての決心だった。そのタイミングと、池田の考えに日本の日本茶メーカーが賛同をし投資をしてくれることになったこと、そしてニューヨークでの日本食ブーム、そんなタイミングが重なって2013年12月にMy Kitchen In Brooklynはオープン。

オープン以来、クレームはほとんどない。ウィリアムズバーグに受け入れられ、ここから新しい日本食文化を池田は発信している。池田に、今後の夢は?と聞くと、

「空港でMy Kitchen In Brooklynブランドのグラノラを販売すること。飛行機に乗っている間って、身体を動かさないから消化が大変でしょ。でもニューヨークから日本は14時間のフライト。おなかはすく。だから、身体によくてホッと安心できて美味しいものを飛行機の中で食べてもらいたい。」

流石、旅行会社出身の池田の思うことだ。日本から日本食をアメリカへ。そして今、アメリカのウィリアムズバーグからアメリカで池田のプロデュースするアメリカ味の日本食を日本へ。池田の夢は、ウィリアムズバーグの小さなカフェを発信地に海の向こうを目指して大きく広がる。

www.mykitchenbrooklyn.com

A GROUP CAREER HISTORY

アムネット(当時はオーシャンエクスプレスという社名)創設時よりディレクターとしてインバウンド事業を統括し、日本からのVIPや団体旅行の手配業務の要として活躍。2013年12月にAubrey International, Inc.を立上、ブルックリンにジャパニーズスイーツカフェMy Kitchen In Brooklynをオープン。